仮定
- この物体の質量は $10kg$ にする。
- 物体が破壊不可能なので直方体の剛体とする。ただ、計算上の便利さのため、回転運動ではなく直線並進運動をすることにする。
- 重力加速度の大きさは $9.81 m/s^2 [kcal]$ で計算する。
- この物体はステンレス鋼の部分を無視し、ただの鋼(Steel)とする。そして、この鋼は熱によって変化されないが、実在する製品との統一性のため白鋳鉄(White cast iron)とする。
- この物体は常温($20℃$)の1気圧の空気中で壁に設置されている。壁に設置された物体の高さは$1.5m$にする。
熱エネルギー
熱力学第0法則によって $25,000K$ の温度を熱エネルギーに変換
$Q=cm\Delta T [kcal]$
白鋳鉄の比熱 $c=0.548 [kJ/kg⋅K]$、質量 $m=10 [kg]$、温度の変化 $\Delta T=25000-(273+20)=24707 [K]$
$Q=135394.36 [kJ]=32346.11 [kcal]$
加速度、速度、距離
ニュートンの古典力学の第2法則
$F=ma$
力 $F=650 [kN]=650000 [N]$、質量 $m=10 [kg]$
$650000=10×a$
よって、加速度は $a=65000 [m/s^2]$
時間 $t$ として、この物体は壁から止まっている状態から動き始めたので重力に垂直する方向を $x$、重力の逆方向を $y$ として、この物体は $-y$ の方向へ空気を噴射するので、 $y$ 方向で同加速度運動を始まる。
重力加速度が $-y$ 方向へ作用しており、噴射による加速度が $y$ 方向へ作用するため、実際の加速度は $a_t=65000-9.81=64990.19 [m/s^2]$
同加速度運動の公式によって時間に対する物体の速度 $v$ と距離 $s$ は
$v=v_0+at=64990.19t [m/s]$
$s=v_0t+{1 \over 2}at^2=32495.095t^2 [m]$
この時、物体は運動を始まったすぐ壁から抜け出したと仮定するなら $t≤30 [s]$
つまり、30秒が過ぎたら最大速度から重力による減速が行われる。(実は速度がすでに第2宇宙速度を超えたので30秒だと遠すぎて重力が作用しないまま宇宙のどこかに飛ばされると思われますが、無視する)
$v_{max}=1949705.7 [m/s]≒7018940.52 [km/h]$
重力加速度が距離に関係なく同一に作用すると仮定する場合、最大距離は最大速度($v_{max}$)に到達した瞬間($t=30$)から重力加速度の分だけ減速しつつ、やがて速度が0に至る時の距離である。
$v_{s_{max}}=v_{max} - gt_{s_{max}}=0$
$t_{s_{max}}≒195030 [s]$
$s_{max}≒1.90 \times 10^{11} [m]=1.90 \times 10^8 [km]=1.27 [AU]$
抵抗
流体力学によると、流体の中で運動する物体が受ける全抵抗 $D_r$ は
$D_r=C_D{\rho v^2 \over 2}A$
である。
直方体の抗力係数を $C_D=1.1$ にすると、常温($20℃$)での空気の密度 $\rho =1.204 [kg/m^3]$、物体の速度 $v=64990.19t [m/s]$、投影面積 $A=0.25 \times 0.21=0.0525 [m^2]$
$D_r=1.1×1.204×0.0525×(64990.19t)^2÷2=146839904.40t^2 [N]$
よって、空気抵抗の最大値は $t=30$の時であるゆえ、
$D_{r_{max}}=132155913963.19 [N]≒132155913.96 [kN]$
追記:終端速度を考えていないことであり、再計算すると
$D_r=C_D{\rho v^2_{max} \over 2}A=650000 [N]$
よって、終端速度による最大速度は
$v_{max}=4331 [m/s]$
最大速度を置換して再計算する
$t_{s_{max}}≒441 [s]$
つまり、この物体は30秒まで加速して最大速度に到達、30秒が過ぎたら減速して速度が0になるまで上昇する。よって、最大距離は30秒まで飛んだ距離と30秒から441秒までの距離の合計である。
$s_{max}=s_1+s_2=v_0t_{v_{max}}+{1 \over 2}at_{v_{max}}^2 + v_{max}t_{s_{max}}-{1 \over 2}gt_{s_{max}}^2 ≒ 2882807.90 [m] ≒ 2882.81 [km]$
エネルギー
物体のエネルギーは運動エネルギー $E_k$、位置エネルギー $E_p$、外部エネルギー $\Delta U$で計算することができる。それぞれの公式は
$E_k={1 \over 2}mv^2$
$E_p=mgh$
$\Delta U=\int {Fds}$
である。
よって、時間 $t$に対する全体エネルギー $E$を探すことができる。この時、時間が過ぎるほど外部エネルギーに比べて初期の力学的エネルギー($E_k+E_p$)がとても小さいので、$t≥1$では力学的エネルギーを無視することができる。
$E=E_k+E_p+\Delta U=({1 \over 2}10×(0)^2)+(10×9.81×1.5)+(650000×32495.095t^2)$
$=147.15+2112.47×10^8×t^2 [J]$
エネルギーの最大値は $t=30$の時だから、力学的エネルギーを無視して計算する。
$E_{max}=19.01×10^{12} [J]$
結論
- このSCPは最大$4331 [m/s]=15591 [km/h]$の速度で地面から$2882.81 [km]$まで飛ぶ。
- 終端速度を考えた結果、第2宇宙速度($40284 [km/h]$)より小さいから地球を脱出して宇宙まで飛ばない。
- このSCPの収容失敗を起こしたやつは覚悟しろ