砂実験室

アラガッダについて

付与タグ: アラガッダ 解説

著者: sandselbstmord

はじめに: 大部分がMetaphysician氏のSCP-2264に準拠しています。

出典

概要

アラガッダ(Alagadda)は、財団にとっての既知のあらゆる場所(地球上/異次元)とも異なる異次元空間に存在する都市の名です。アラガッダの存在する次元及び惑星の他の土地は探索されておらず1、その起源も、アラガッダ以外の都市及びそこに居住する住人に関しても一切判明していません。

アラガッダ次元は基底次元空間2と基本相互作用を異にしており、例として重力3、光4、次元そのものの構造5が異なっています。また、このような様な状態にあるにも関わらず、アラガッダ次元は人類が居住可能な空間でもあるようです。後述する原住民・探索した財団工作員共に、内部では攻撃的な実体の干渉によるものを除けば生存上の影響は示されていません。

アラガッダ次元、あるいはアラガッダの特徴的な異常として、内部に侵入した人類への特異な影響が挙げられます。まず一点、人類はアラガッダ次元内部では意識朦朧、あるいは軽い酩酊のような状態に置かれるようです。これらの効果は原住民にも及んでいる可能性もあるかもしれません。二点目は、これがアラガッダ/アラガッダ次元全体への影響であるのかは不明ですが、内外での物品の輸出入の不可能性が挙げられます。正確に言えば、これらの効果はロンドン塔マーティンタワーの隠し扉(SCP-2264-A)からの入退場時で観察されています。入場時には衣服を含めたそれまで身に着けていた物が除去され、代わりにヴェネチアのカーニバルに似た衣服と仮面舞踏会で使用されるような仮面を身につけさせられます。ただし、ルべド・リザーブ生成昇華装置(SCP-3573)のように、アラガッダからの輸入品と見られる商品6が基底次元において販売されており、この制限は常にかかるというわけでもないかもしれません。しかし、アラガッダ出身でないクル=マナスの堂守もアラガッダ内部での標準服装と似た物を着用している為、「SCP-2264-Aから入場するとそうなる」というよりは「抜け道がある」の可能性の方が高いです。

Venezia_carnevale.jpg

ヴェネチアのカーニバルの衣装

画像規約
出典: wikimedia
作者: Wanblee~commonswiki
ライセンス: CC 3.0

アラガッダの都市に住む住民は人類(Homo sapiens)と概ね似通った姿をしていながらも、様々な逸脱を示しています。例として

  • 多椀・多足
  • 少ない手足
  • "セラミック質"と表現される皮膚

が観察されています。また、その外観7

クル=マナスの堂守によれば、アラガッダは非意図(Nevermeant)の境界に存在しています。"非意図"という語の意味は未判明ではありますが、マーシャル・カーター&ダークが販売しているワイン(ルべド・リザーブ/SCP-3573)の売り文句にも同様の語が使用されており、アラガッダに出入りする存在の間ではある程度共通に認識される語である可能性があります。アラガッダの原住民が使用した記録はありません(そもそも彼等が言葉を発した記録が少ないですが)。

アラガッダ次元の有力者

有力者、という言い方で正しいのかはわからないものの、アラガッダ内部に居住している実体の中には極めて強力な個体が存在します。
吊られた王(SCP-2264-5): アラガッダの王とされている実体。ベールで顔を隠し、玉座に拘束されている。王であるにも関わらず、この実体の着用しているローブはボロボロであると言及されています。

アラガッダの大使(SCP-2264-4): 顔が無く、黒い肌と両性具有であることが観測されています。触れずに財団工作員に同士討ちをさせています。

アラガッダの仮面君主: それぞれ黒、白、黄、赤の色に対応した4人の君主。強力な現実改変者です。黒の君主は過去の政治闘争の犠牲によりアラガッダとはまた異なる次元に幽閉されています。原作者コメント及びミッドナイト・パレードでは、黒の君主がSC-035と関連していることが示されています。

アラガッダ次元の色

アラガッダ次元では、先述した通り黒、白、黄、赤の4色しか確認されていません。2264冒頭で示された日誌の通り、これらの色は錬金術に関連があります。これらの色は段階を表し、黒(二グレド/Nigredo)、白(アルべド/Albedo)、黄(キトリニタス/Citrinitas)、赤(ルべド/Rubedo)の順に完成に近づいていきます。この考え方の起源は1世紀にまで遡ることが出来ます。しかし、黄化(キトリニタス)の段階が赤(ルべド)に集約され、黒白赤(順は変わりません)の3段階に成る場合もあるようです(15世紀以降)。SCP-2264-Aからの入場に際してこれらの色に基づいた手順が必要なことは、扉を作成し、後に封印した第9代ノーサンバーランド伯ヘンリー・パーシー(1564-1632)が錬金術に詳しい人物であったことから説明がつきますが、アラガッダ次元内部での色までもがこの原則に基づいているのは奇妙です。アラガッダでの時系列は現実世界と対応していない可能性があるとは言え、基底次元の錬金術師がこれだけ巨大な空間を発生させたとは考えにくいため、アラガッダが錬金術等で研究されていた何らかの超自然的な法則に基づいて作られていると考えられます。もしかすれば、基底次元における錬金術もアラガッダ次元あるいはそれと根底法則を同じくする異次元に着想を得たものである可能性があります。

各資料から見えるアラガッダ

「吊られた王の悲劇」台本及び逸脱版からの要約

  • Trinculoの王ゴンサーロ8がアラガッダの外交官との"秘密の取引"により無味の強力な毒を手に入れる
  • 下級貴族アントニオ9がアラガッダの外交官との取引においてゴンサーロよりも多い金銭10を提供する
  • 恐らくはアントニオの取引により、ゴンサーロは吊り殺される11
  • その後、登場人物/役者は全員が殺されるか、自害する

SCP-2732

SCP-2732は台本(SCP-2732-1)に描かれる物語を上演する舞台です。台本は、七章からなり、全ての章は同一の出来事にそれぞれ別な物語を付けて綴ったもの」と説明されています。7章は他の章と比較して情報がそこまで多くないため、省きます。この解説では阿伽=アラガッダとして話を進めます。

1章
阿伽(Ajia)の王は、首を吊って死んだ。

「アラガッダの王が首を吊って死んだ」とされています。

2章
嘗て、阿伽の国を治める王は首を吊ったが、死ぬことが無かった。その国の民は皆、仮面を被っていた。

「アラガッダ(仮面を被った民の国)の王が首を吊ったが死ななかった」とされています。

3章
阿伽の国で、王は首を吊ったが、死ぬことが無かった。蛇人たちは彼を恐れ、都を焼き払った。彼らは王を埋葬する前に、彼に仮面を被せた。

「アラガッダの王が首を吊ったが死なず、王を恐れた蛇人たちがアラガッダを焼き払い、王を埋葬する際に仮面を被せた」とされています。蛇人とは、SCP-2481で示される夏王朝の民を示している可能性が高いです。アラガッダが夏王朝にあったというよりは、アラガッダの王を警戒した夏王朝の民あるいはその子孫がアラガッダを破壊したと考えられます。

4章
阿伽の国には、宮廷の中庭で首を吊った王がいた。国を挙げてこれが祝福され、王の亡骸は野に打ち捨てられた。翌日、王の使者がやって来た。その者には顔が無く、しかし脅すように笑った。民は大いに怖れ、これは神か怪物の類に違いないと考えた。彼らはその者へと血の犠牲を捧げた。

2,3章とはうって変わり、「アラガッダの王が首を吊って死に、それが国に祝福される。翌日、顔の無い死者がアラガッダを訪れ、民は血の犠牲を捧げた(≒死亡した)」とされています。顔の無い死者は恐らくアラガッダの大使でしょう。

5章
その日、阿伽の国は、王を宮廷に幽閉した。王は従僕に何か策は無いかと尋ね、従僕は答えた、“死ぬまで戦い抜くより他ありませぬ”。斯くして白絹が用意された。王は言った、“余は彼の者どもの魂を手に入れる”。王は宮廷の庭で首を吊り、従僕もまた死を遂げた。国を挙げてこれが祝福された。

翌日、王の使者がやって来た。その者には顔が無く、それを見た民は、人間ではないに違いないと見做した。問われてその者は脅すように笑い、答えた、“汝ら血の犠牲を捧げるべし”。群臣たちはこれを悟り、言った、“我らは王に犠牲を捧げる”。民は皆言った、“全ての血は王のものである”。

「アラガッダの民が王を幽閉し、王は従僕の助言に従い首を吊り、それが国に祝福される。翌日、顔の無い死者が国を訪れ、民は血の犠牲を捧げた」とされています。4章と比較して、王が首を吊った原因が民により幽閉され、更に従僕の助言により首を吊ったと判明します。

6章
その日、阿伽の国は、王を荒野へと追放した。王は従僕に何か策は無いかと尋ね、従僕は答えた、“神々に祈るより他ありませぬ”。一瞬の後、龍が現れた。その龍は母なる女神であった。龍は言った、“彼が帰還するにはまず誰かが死なねばならぬ”。龍に仕える六匹の獣は言った、“汝全ての血潮を贄とすべし”。王はまず従僕を犠牲に捧げた。竜はこれを見て“善し”とした。その後、王は白絹で首を吊った。国を挙げてこれが祝福された。

翌日、王の使者がやって来た。それは六獣のうちの一匹であり、身体は丸く、顔は無く、背には六枚の翼が生えていた。問われてその者は脅すように笑い、答えた、“汝ら血の犠牲を捧げるべし”。群臣たちはこれを悟り、言った、“我らは王に、獣たちに、龍に犠牲を捧げる”。民は皆言った、“全ての血は王のものである”。

「アラガッダの民は王を追放し、王は従僕の助言に従い6匹の獣を連れた龍/母なる女神に祈り、従僕と共に死亡。翌日、6匹の獣のうちの一人が王の使者として現れ、民は血の犠牲を捧げた」とされています。母なる女神/龍・六匹の獣というキーワードから、これは女媧への言及だと考えられます。女媧と言っても、単なる中国神話の神ではなく、夏王朝シリーズにおける女媧、つまりサーキックシリーズのヤルダバオートへの言及であると推測されます。夏王朝において、ヤルダバオートは女媧/母たる龍と呼称され、ヤルダバオートの下僕である6体の神格アルコーンは混沌、窮奇、梼杌、饕餮、共工、祝融と呼ばれていました。この中の一体、混沌という名を付けられたアルコーンに注目すると、特徴が6章で語られる使者/大使と一致していることが分かります。混沌は目・鼻・耳・口が無く、六本の脚と六枚の翼が生えているとされており、6章の大使の顔が無い(のっぺらぼう)・六枚の翼という特徴と一致しています。ヤルダバオートとアルコーンは犠牲や殺人と引き換えに魔術的な見返りを与えることがある為、国に追放された王がヤルダバオートとの契約により国の民を"手に入れた"という事がわかります。

龍と蛇に関してからの要約

  • 吊られた王が'口にするのもおぞましい神12'と取引を行った
  • アラガッダについて語る時、論説としてではなく詩の形式になる、あるいはそうでなければ語ることができない
  • 黒い穴が最奥部に存在する
  • 吊られた王は拘束されている
  • 宮廷には'龍の印13'
  • 偉大な龍14がアラガッダに長期間存在していた
  • アラガッダに纏わる犠牲は、吊られた王が発端となっている

となります。2番目の情報はアラガッダに関する詳細のほとんどが説話、詩、劇の形式で表されていることの説明になります。6番目の情報に関しては脚注でも解説した通り、ヤルダバオートがアラガッダに居住していたということとは考えづらいです(可能性はあります)

蛇についてからの要約

  • アラガッダの王は'大いなる深淵15'にて3人の死の君主16に対し、不死を賭けてゲームをします
  • 王は君主との勝負に敗れ、アラガッダの民は大量に死亡した
  • 生き残りの民は反乱を起こし、王を幽閉する。王は再び深淵に赴き、無貌の神17と取引をし、民全ての血と引き換えに生も死もあやふやな状態になる

そしてそれ故烏ら笑ひけりからの要約

  • アラガッダでクーデターが発生し、結果として王は吊り殺される
  • 王の死から3日後までには、アラガッダの民全員が死亡した
  • 王の死体は再び立ち上がり、かつての宮廷地下牢の玉座[[footnote]]棘の生えた椅子であり、一見すると拷問器具の様に見えます。また、アラガッダの賢人はこの玉座を警戒してクーデターには加わりませんでした。曰く、'そこには腐敗と享楽への耽溺のみならず、何かもっと闇深い物たち、忘れ去られるべき物たちへの囁きと祈りがあった。'[[footnote]]に座る。それと同時にあらゆる法則が狂い始める
  • アラガッダの民は蘇り、流血を隠すために仮面を被り、クーデターの際と同様に大騒ぎを始める
  • そして、これらすべての中心は王の宮廷の地下牢であり、アラガッダ全体を歪曲し内包する穴である
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